紙と猫と、冬の暮らし
我が家には、5歳になる保護猫がいます。 初めて出会ったのは、まだ肌寒い春の終わり。
保護団体の方から引き取ったその猫は、警戒心が強く、シャーシャーと威嚇しながらクローゼットの奥やベッドの下に隠れてばかり。
姿を見つけるたびに、そっと声をかけて、少しずつ距離を縮めていきました。
そんな日々を重ねて5年。
今ではすっかり家猫としてのふるまいを身につけ、堂々とした態度で部屋の真ん中に鎮座する姿は、まるで我が家の主のようです。
名前を呼べば返事をし、ごはんの時間には目を輝かせて駆け寄ってくる。
あの頃の怯えた瞳は、今ではすっかり安心と信頼に満ちています。

さて、そんな我が家の猫ですが、外の世界では満足に食事ができなかったのか、とても食いしん坊。
ごはんのおねだりをする姿があまりにかわいくて、ついついおかわりをあげてしまい…気づけば6kgを超える立派なデブ猫に成長しました。
走るとおなかのお肉が左右にゆさゆさ揺れて、それはそれで愛らしいのですが、さすがに健康面が気になり始め、飼い主として猫のダイエットを考えるようになりました。
でも、運動させるのってなかなか難しい。
猫は気まぐれで、気分が乗らないとまったく動かない。そんなとき、ふと気づいたのが「紙」への異常なまでの執着です。
段ボールが届けばすぐに中に入り、紙袋を置けばその上で丸くなる。シャカシャカ音がするクラフト紙には目を輝かせて飛びつく。
どうやら紙という素材には、猫の本能をくすぐる何かがあるようです。
そこで「紙製のおもちゃ」で運動できないかと調べてみたところ、驚くほどたくさんの商品が見つかりました。
猫が入る用のシャカシャカ音が楽しい紙袋、再生紙でできたキャットタワー、紙製の猫用ボール…。どれも軽くて安全、そして環境にもやさしい。
紙は加工しやすく、万が一かじってしまっても安心。
何より、猫の好奇心を刺激する工夫が随所に施されています。
紙の魅力は、猫だけでなく飼い主にも。不要になった段ボールで手作りおもちゃを作れば、ちょっとした工作気分も味わえます。
紙は自由度が高く、捨てるときも手軽。自然素材ならではのぬくもりがあり、部屋の雰囲気にもなじみやすい。
猫との暮らしに、紙はとても相性の良い素材なのだと改めて感じました。

これから迎える冬は、寒さで人も猫も動きが鈍くなりがち。
でも今年は、紙製のおもちゃを猫にプレゼントして、楽しく運動してもらおうと思います。
紙のやさしさに包まれながら、猫との暮らしをもっと豊かに、もっとあたたかく。 ゆさゆさ揺れるおなかも、元気に動く姿も、全部が愛しい日々の一部です。
by格之進



