紙で、たわしを作れるの!?
缶ビールの6缶パックや清涼飲料を複数本束ねるマルチパックに使われる、非常に強い紙ってありますよね。
紙の業界ではCUK(Coated Unbleached Kraft Board)などと呼ばれます。この6缶パックなどは、スーパーや量販店でしばしば見かけますし、特にお酒好きな人たちの日常に溶け込んでいますよね。
しかし、この紙はほぼすべて、北米をはじめとする海外から輸入されているんです。日本に持ち込まれて印刷や型抜きなどの加工を施されますが、紙そのものは日本では生産されていません。
実はこの、マルチパックの紙、普通に使われているように見えますが、色々な特性があります。
まず、その強度です。500mlの缶ビールが6本入れば、3キロ以上の重さになります。
それを指穴に指を入れて挟むだけで持ち上げられる強度があります。
しかも、接着剤を使わずに、切れ込みを作り、紙そのものをロックすることで支えることが出来るのです。接着剤を使用していないので、廃棄するときには簡単に開くことが出来ます。
この強度を実現するために、北米などで入手しやすい、強靭な長繊維の未晒クラフトパルプを主原料として生産されています。だから、この紙が輸入されているのです。
これだけ強いのに、ミシン線に沿って持ち上げるだけで、ハサミを使わずに簡単にオープンできるのも魅力です。
それだけではありません。スーパーなどの店頭で陳列される場合、その多くは冷蔵庫に置かれますよね。
冷蔵されているということは、つまり、冷蔵庫から出したときに外気との気温差によって、結露します。
結露がこの紙に浸み込んで、強度が弱くなったらどうなりますか?
中身がバラバラと落ちてしまいますよね。
たとえ結露して、多少の水分に晒されても強度を保ち続ける、それもこの紙の特長です。
強いだけではなく、印刷による広告効果も抜群です。
表面は印刷用紙や白板紙と同じようにコーティングしてあるので、オフセット印刷、グラビア印刷などが可能です。新発売のビールの広告が鮮やかに描かれているパッケージが想像できますね。
表だけではなく、裏にも印刷ができるので、懸賞などの応募用のはがきを直接、マルチパックに印刷している場合もしばしば見かけますよね。
最近では、この紙の「高い強度と耐水性」を活かして、新たな取り組みがスタートしています。
美術大学の学生と企業がコラボして、この紙を使った「紙たわし」の取組みも始まっています。
一枚の紙に罫線や切れ目を入れるだけで、接着剤もハサミも、金具も使わずに簡単にたわしが完成します。
すべてが一枚の紙で出来ているたわし、素敵ですよね!
お鍋にこびりついた焦げを、紙たわしでゴシゴシこすってすっきりした後は、ギンギンに冷えた6缶パックのビールを飲んで、もっとすっきりするのがいいですね!
使った後のたわしは簡単に廃棄できますし、再生紙原料としてリサイクルもできる紙たわし、あなたも使ってみませんか!?
紙たわし | グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社 (graphicpkg.jp)
by Q太郎
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